非常勤講師が乳癌になる Pt.4

こんばんは。

5月17日の検査結果。

「あ、悪性!癌です!」


という、大雑把な癌告知のあと、マンモトーム(かなり、音がうるさいやつです)を受け、どこの病院にするか等々について考えてくるように伝えられる。

検査結果については、検査センターの資料を読んでおいてね~と、雑に渡される。

2時限目があるので、会計を済ませて足早にK駅からM線に乗り込み、M大へと向かう。

幸い車内はかなり空いており、三人掛の壁際の席に座る。

授業の確認をしたあと、検査結果を恐る恐る見る。

「腺癌 浸潤性乳管癌 充実型」等々。

他にも良くないことがたくさんかいてある。

急に目の前が真っ暗になり、朦朧としてくる。

「どうして休講にしなかったのか」と、後悔する。


精神的に追い込まれたまま、大学の駅に着き、校舎へと向かう。   

講義棟の入り口で仕事の相棒である先生に出くわす。


「あれ?顔色真っ青だよ、どうしたの?いつもより遅いね」

と言われた瞬間、涙が溢れてきた。

「I先生~、わたし、癌になっちゃった」

いま考えると、I先生も授業前であったのだよね、動揺させてしまった。申し訳なかったな。
でも、あのときにあったのが、I先生で良かった。
やっぱり、相棒に会わせてくれるっていう、運命を感じる。

そのあと、病院にかかるまえに相談していたもう一人の先生に控え室で会った。

遠目に、「どおだった?」と、口を動かして心配げに聞いてくれた。

もう、涙腺が緩みまくっていたので、首を振ることしか出来ずに、下を向く。

かけよって、肩を抱いてくれたのをいまでも忘れない。


病院では、平気だったけど、全然だめだったなあ。

2時限目は気力で乗りきり、午後は同僚に合同授業を依頼して、お休みを頂いた。



太陽を浴びたくなって、ベンチで三時間。

まだ、なにも始まっていなかったけど、あの日から色々なことが変わりはじめた。

乳癌、一番身近でありながら、女性にとって一番残酷な癌との戦いが始まった。